Scarification,cicatrice,チャゲ
ニジェールでは、顔に身体変工を施した人々がいる。
元来の意味はエスニックグループや立場を明確にするために行われてきた。
傷の形もは地域性や各エスニックによっても多種多様に存在する。
主要な瘢痕は多くの人に認知されているようで、出身地などが分るようだ。
傷はそれ自体が文字のように意味を持っているのではなく、図形的に分類を示すようだ。
よく村で、よそ者という現地語を聞く。違う村から来て、長年暮らしていてもよそ者と呼ばれる人もいる。
想像ではあるけど、上のように瘢痕に家族意識や集団への帰属意識の要素が含まれているとするなら、よそ者がその村に認められるのは、最短でも自分の子供に対してその地域の瘢痕を施したことによって、容認され始めるのかもしれない。
最近では、町を中心に減少傾向にあり子供で傷を施しているほうが小数になってきている。
というのも、部族衝突の減少、移動や地域社会の拡大など外部の接触が増えたことで、瘢痕の本来の機能が減少したことが挙げられると思われる。
現代的には、身体変工への衛生観念や傷への偏見も減少の理由に挙げられるだろう。
感心すべきことは、機能性だけでなくその中にデザインとしての表現を入れていることだ。
日本の家紋もそうだけど、とても独特な表現方法である。
そんなこともあって、少数ではあるが、瘢痕の理由を聞いた村人からお洒落だからという返答が帰ってきたこともあった。
廃れ行く文化、そして文化の汎用。
この国から身体変工という表現がなくなることはないだろう